
三日目、下山の日です。最初の予定を早めて入山しましたが、予想通り三日目の朝は西吾妻小屋の外はすっぽりと霧におおわれ殆ど視界のない状態でした。
歩いているうちにガスがどんどんと流れ、一番展望のいい場所で目の前の雲が幕を開くように消えていき急に世界が開けました。
が、それもリフトに乗って下っていくに従い、下界の雲のなかに入っていくせいか冴えない天気になってきました。山行日程としてはドンピシャのありがたい天候でしたが、やはり下に降りると蒸し暑い💦 登山口の白布(しらぶ)温泉にて汗を流し、その後は渓谷に下って「白布大滝」の見物をして米沢市内に出ました。

地元の方に「米沢の見処は?」と尋ねると、上杉謙信の記念館などのある町の中心部のようですが、一番はもちろん「米沢牛」。
ただ私とTさんには全く別の見処?がありました。それはデブ猫「ヒデヨシ」の登場する『アタゴオル物語』や、やはり猫のキャラクターが演じる『銀河鉄道の夜』(宮澤賢治原作・映画にもなった)の作者・漫画家のますむらひろしの出身地が米沢なのです。地元山形美術館では2022年に「ますむらひろし展」を開催。市内には「ヨネザアド号」というヒデヨシ達が描かれた青と黄色のラッピングバスも走っているのです! たまたまその青バスに出会えて私たちは大興奮。

しかし残念ながら市内では、ますむらひろしの事など他には影も形もなく、ランチを取った上杉博物館前の物産館カフェにて「どこに行ったら“ヒデヨシ”に会えますか?」と尋ねたら、親切なカフェのお姉さん曰く「10年ここで働いていますけど、お客さんからますむらひろしの質問を受けたのは初めてです」と。なんと…💧そんな…。
しかしそこのお姉さんは色々知恵を絞ってくれて「市立図書館」に行けば、ますむらひろしの蔵書コーナーがあると思うとの事で、二人はいざ、市立図書館へ!
ありました、ありました。見たこともないほど沢山のますむらひろしの著作や関連本。そしてまた親切な図書館の女性職員が「児童書コーナーにヒデヨシのステンドグラスがあり、そこだけは写真撮影が出来ます」と教えてくれました。それがこの写真です。せっかくの米沢訪問でひとかけらも上杉謙信にまつわる施設には行かず、「ヨネザアド」に思い切り浸った一日でした。
*「ヨネザアド」とは:宮澤賢治の「イーハトーブ」から着想を得て、ますむらが地元にちなみ「ヨネザアド」と言う空想世界を作ってそう呼んだ