
茫洋と広がる山容、これは西吾妻山稜線上の展望台「人形石」から見た東大巓(ひがしだいてん)の方です。
もう10年以上前、2012年の夏にこの山の向こうにある滑川温泉から山の本倶楽部・女子部の5人の仲間と縦走し、西吾妻山から裏磐梯のグランデコ・スキー場に下山した事があります。東大巓近くにある「明月荘」という弥兵衛平避難小屋利用での一泊二日、ロングコースでしたが当時は元気でした。
その時に目にした明月荘裏手に広がる弥兵衛平の高層湿原の素晴らしさが忘れられず、ずっともう一度訪ねてみたかったのです。今回、山仲間のTさんの休暇に合わせ北岳などを計画していましたが、天候を見てもう一つのプランであったこの弥兵衛平湿原と明星湖を訪ねる山旅に向かったのでした。

第一の目的である明月荘にまず一泊。そして翌日は弧を描いて歩き戻り、今度は西吾妻山山頂直下にある西吾妻小屋にもう一泊の優雅な山行です。
天気を見定めつつ、前倒して初日は夜中に東北道を移動し、なんとか昼前には人形石まで到達。しかし前出写真のように東大巓までは随分と長い道のりです。幸い日の長い季節なので日没の心配なしに歩けました。
明月荘に向かう前に10数年越しの“課題”だった東大巓の山頂も踏め、ちょっぴり満足。
到着した避難小屋にはすでに2組のパーティーが寛いでいました。

夕方相当いい時間にやっと着いた私たちは、重いザックを下ろすと靴を脱ぐ前に湧き水「金明水」まで水汲みです。
2012年の時は水場を通ってそのまま登って明月荘だったので、すっかりその距離感を忘れていました。疲れていたので、いくら下っても水場に出くわさず内心ちょっぴり不安になった頃、広い雪田の下にようやく「金明水」がありました!
その日小屋を利用していた私たち以外の二組、男女の3人パーティーと女性2人組のパーティー。どちらもツワモノで、一切経山からだったり高湯の不動沢経由だったりで猛烈な藪こぎだったとのこと。背丈以上の熊笹のトンネルの中を抜けてきたとゼスチャー付きで話をしてくれました。