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信濃木崎夏期大学

しばらく何処にも出かけておらず、話題がないなか、ちょっと面白い?事がありました。

 

6月9日の「つれづれ」で木崎湖周辺で遊んだ話をアップしましたが、その時スケッチの為に湖畔の「信濃木崎夏期大学」という敷地に登って過ごした事を書きました。

 

帰ってから、この「信濃木崎夏期大学」とは何ぞや?と調べてみると、毎年夏期の一時期に一般の人にも門戸を開き講座を開設していて、歴史もあるもののようです。今年も8月初旬に一週間開催され、講座案内も載っています。

さて、この夏期大学が思わぬところで登場したのでした。

この本は雪の研究で知られている中谷宇吉郎のエッセイ集ですが、私は編集者が大好きな宇宙物理学社の池内 了だったので求めた本でした。

 

この本の最後の方になんと「信濃木崎夏期大学」に著者の中谷宇吉郎も参加したとの記述がありました! 中谷は1900(明治33)年生まれで、夏期大学に参加したのは旧制高校の学生の時。その時の講師の名前が載っていたので、HPの「年度別来堂講師・講義題一覧」という、創設からの講義・講師名の一覧を調べると、ありました!

 

第四回(大正9年度)にて朝永三十郎(京都帝大)の「カント哲学」講義という、本の記述に一致するものが。。。! 初期の頃は日程も長く、講座も課外講演も充実していて、驚くのは「水泳」なんて言うのもあります。木崎湖で泳いだんでしょうね。

 

たまたま自分がフラリと散策がてらスケッチの為に訪ねた場所が、読んでいた本のなかで、今は亡き著者が実際その場で学んだ事があるという奇遇。建物などは当然かつてのものとは違いますが、もの凄く親近感を抱き、一気にワープしてその場が自分の時空間と重なる思いとなりました。

 

中谷宇吉郎は寺田寅彦に師事した物理学者でしたが、Wikipediaには「随筆家」ともあります。なるほど、この本もとてもユーモアに溢れ、全く偉ぶらない人柄や多趣味で何事にも関心を抱く子供のような純粋さなど、とても親近感を抱く科学者です。

明治生まれの人なので、本の記述には今では使われないような表現が多々あるのですが、それがまたちょっといいのです。科学に特に興味のない人でも特にこの『雪は天からの手紙』(岩波少年文庫)は随筆として親しみやすい本だと思います。

 

自然科学が割りと好きな私はこういう本が好みですし、流れで寺田寅彦の『科学歳時記』(角川文庫)もパラパラと読んで楽しんでいます。